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=== 外来魚バスターズ コクチバス・フロリダバス調査報告 ===


2003年 フロリダバス調査 DNA鑑定

 今回、外来魚バスターズは、大阪府立大学農学生命科学研究科生態保全学研究室の協力を得て、琵琶湖のブラックバスのDNA鑑定調査を行いました。そして、琵琶湖で捕獲したブラックバスのミトコンドリアゲノムの塩基配列を分析した結果、複数の個体からフロリダバス固有の塩基配列を確認いたしました。これにより、琵琶湖におけるフロリダバスあるいはノーザンラージマウスバスとフロリダバスとの雑種の存在が明らかになりました。

 フロリダバスはフロリダ州原産のバスで、ノーザンラージマウスバスの亜種にあたり、ノーザンラージマウスバスに比べてより大型になるのが最大の特徴です。日本には戦後持ち込まれ、1988年に奈良県下北山村の池原ダムに放流されています。我々は、数年に渡り大量のバスを駆除し見てきたわけですが、その中で、一見皆同じに見えるブラックバスに体高などのプロポーションが違うもの、また、駆除時の引きの強さから遊泳力の違うものがいることに気づきました。そして、これはかねてから密放流の噂が絶えないフロリダバスではないかと考えました。以前、研究者の中で琵琶湖にフロリダバスがいるのではないかとの報告がありましたが、確実な情報を与えるDNA塩基配列レベルの分析結果は示されておらず、その真偽は定かではありませんでした。そこで、その真相を明らかにすべく、独自の調査に踏み切り、ついに今回の結果を迎えることとなりました。

未消化の在来魚を吐き出したバス
引き上げられると共に、未消化の在来魚を吐き出したバス
 琵琶湖のバスにフロリダバスの遺伝子が見出された意味は、琵琶湖にブラックバスの密放流が行われているという厳然たる事実を示すものです!!そして、ノーザンラージマウスバスよりも大型化するフロリダバスは、生態系にとってそれを凌ぐ脅威といえます。大きいということは、それだけ餌を食うからです。フロリダバスはノーザンラージマウスバスと容易に雑種を形成しますが、雑種の方がそれぞれの純系種よりも成長が早く体重も重いという研究報告もあります。また従来のノーザンラージマウスバスの行動生態が、フロリダバスと交雑することで変化する可能性も考えられます。琵琶湖にはこの雑種が確実に存在していると考えられ、今回調査した個体にもそうしたものが含まれている可能性があります。外見的には非常によく似ており、あまり際立った差の見えないフロリダバスですが、その存在は極めて憂慮すべき事態といえます。

 今後、3トン駆除を目指す中で、琵琶湖のバスについてのさらなる調査を進めていきたいと思います。



2003年 10月16日
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2003年 コクチバス調査 DNA鑑定

 8月7日、安曇川河口付近に短時間の駆除に出かけた時のことです。

 小型の同じような大きさのバスを14匹釣った中に、1匹少し感じの違うバスが釣れました。ちょっと細長く、色も茶色っぽく、模様のはっきりしない、海のアイナメの様な印象を受けました。細長く見えたのは、口が小さいからでした。持ち帰ってじっくり見ると、やはり上あごの後端が目の後端よりも前にあります。コクチバスと思ったものの、死んで模様が消えてしまったためか思ったより大きな違いが無いためそのまま冷凍保存しておきました。

下がコクチバス ちょうどその頃、フロリダバスのDNA鑑定を進めているところでしたので、この個体についても鑑定を依頼しました。その結果、口のほかにも背びれの基部にうろこがあることや、側線のうろこの数などが、コクチバスの特徴を示しており、さらにDNA鑑定ではコクチバス固有の塩基配列が検出されたことから、この個体がコクチバスであると確定しました。

 コクチバスは、1991年に長野県の野尻湖で初確認されて以来、オオクチバス(ノーザンラージマウスバス)の後を追うように生息域を広げており、オオクチバスと比べて流水域や冷水域にも棲めるため、河川上流域のアユやヤマメ等の在来魚への食害が懸念される大変危険な存在です。わが国では、正式に放流されたことはなく、国内での繁殖はすべて密放流によるものです。

 琵琶湖では、北湖において過去4回(4匹)、コクチバスが捕獲されており、昨年は信楽町の大戸川で9匹が捕獲されました。バスターズでも外見上で判定出来る物は、過去に捕獲されています。今回捕獲されたコクチバスは、その大きさからして昨年生まれた二歳魚で、過去に密放流されて付近の河川で繁殖しているものか、あるいは最近密放流されたものと思われます。

 フロリダバスといい、コクチバスといい、外来魚の繁殖による生態系への影響が大きな社会問題となっている現在もなお、このような悪質な密放流が繰り返されているのです。日本中のほとんどの池・湖・河川でバスが異常に繁殖して大きな問題となっているというのに、さらに残された水域に繁殖する可能性の高いコクチバスを放流するという行為は悪質な犯罪であるだけでなく、私達にはとても正気の人間の仕業とは思えません。また、このことはバス擁護派の主張するゾーニングがまったく無意味であることを示していると思います。

 ブラックバスやブルーギルは、正しい釣り方を覚えれば、比較的簡単に釣ることができます。外来魚バスターズは今後も駆除を継続します。市民の皆様の駆除への参加をお待ちしています。

(文: サエキ@外来魚バスターズ)
2003年 10月16日
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