今回、外来魚バスターズは、大阪府立大学農学生命科学研究科生態保全学研究室の協力を得て、琵琶湖のブラックバスのDNA鑑定調査を行いました。そして、琵琶湖で捕獲したブラックバスのミトコンドリアゲノムの塩基配列を分析した結果、複数の個体からフロリダバス固有の塩基配列を確認いたしました。これにより、琵琶湖におけるフロリダバスあるいはノーザンラージマウスバスとフロリダバスとの雑種の存在が明らかになりました。
フロリダバスはフロリダ州原産のバスで、ノーザンラージマウスバスの亜種にあたり、ノーザンラージマウスバスに比べてより大型になるのが最大の特徴です。日本には戦後持ち込まれ、1988年に奈良県下北山村の池原ダムに放流されています。我々は、数年に渡り大量のバスを駆除し見てきたわけですが、その中で、一見皆同じに見えるブラックバスに体高などのプロポーションが違うもの、また、駆除時の引きの強さから遊泳力の違うものがいることに気づきました。そして、これはかねてから密放流の噂が絶えないフロリダバスではないかと考えました。以前、研究者の中で琵琶湖にフロリダバスがいるのではないかとの報告がありましたが、確実な情報を与えるDNA塩基配列レベルの分析結果は示されておらず、その真偽は定かではありませんでした。そこで、その真相を明らかにすべく、独自の調査に踏み切り、ついに今回の結果を迎えることとなりました。
未消化の在来魚を吐き出したバス
|
琵琶湖のバスにフロリダバスの遺伝子が見出された意味は、琵琶湖にブラックバスの密放流が行われているという厳然たる事実を示すものです!!そして、ノーザンラージマウスバスよりも大型化するフロリダバスは、生態系にとってそれを凌ぐ脅威といえます。大きいということは、それだけ餌を食うからです。フロリダバスはノーザンラージマウスバスと容易に雑種を形成しますが、雑種の方がそれぞれの純系種よりも成長が早く体重も重いという研究報告もあります。また従来のノーザンラージマウスバスの行動生態が、フロリダバスと交雑することで変化する可能性も考えられます。琵琶湖にはこの雑種が確実に存在していると考えられ、今回調査した個体にもそうしたものが含まれている可能性があります。外見的には非常によく似ており、あまり際立った差の見えないフロリダバスですが、その存在は極めて憂慮すべき事態といえます。
今後、3トン駆除を目指す中で、琵琶湖のバスについてのさらなる調査を進めていきたいと思います。
|