京都鴨川上流
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=== 外来魚バスターズ 定例駆除活動報告 2月号 ===


2003年 第3回定例駆除 - 2月9日マキノ方面漁港 報告担当:だいけん
 前日降っていた雨もやみ、夜中を過ぎたころには星空も見えてきました。午前7時半頃には、魚成さんと共にマキノに到着しました。外に出てみると、さほど寒くない様子です。水位は増しており、水も濁っていて底は全く見えません。今日はよく釣れそうな雰囲気です。すでに如水さんとサエキさんが駆除を開始しています。如水さんが船の際からバスを釣り上げているのが見えるので、今日は朝から外来魚がよく動いているようです。漁港内ではカイツブリの親子が泳ぎまわっています。小バスを追いかけているのでしょう。彼らは見るには愛らしいですが、泳ぎ回られるとポイントが荒れるので、あまりこちらにこられると困ります(-.-;)

 仕掛けを準備し、漁港の隅に釣り座を構えます。魚成さんは、新たに開発した超遠投用新型ウキ「琵琶湖3号」でやや遠目の船の際を狙います。竿を振り込んでからまもなくアタリがあり、ウキがゆっくりと消しこんでいきます。すかさず合わせますが、針はかからず仕掛けが宙を舞います。どうやらかなり食い込みが悪いようです。タイミングを合わせる為、もう一、二呼吸おいてから合わせます。今度は竿先がグイッと曲がり、ターゲットを捕らえました。しかもなかなか型がよいようです。釣り上げてみると、20cmぐらいのバスでした。その後続けて20cm前後、また30cmぐらいのバスも揚がってきます。今日も、良型バスがかなり潜んでいるようです。


 駆除量をかせぐために、次々と竿を振り込みます。私と同じポイントで釣っているサエキさんもたて続けにバスを釣り上げ、となりで遠目を狙う魚成さんもどんどんバスを引き上げていきます。濁っているので水の中の様子は見えませんが、相当な数のバスが先を争ってエサを食べているようです。外来魚を入れているバッカンが埋まるピッチが明らかに上がってきました。取り上げたバスを掴むと、氷のように冷たく冷え切っており、水温が非常に低いことがわかりますが、そんなことはお構いなしに元気な連中です。琵琶湖の在来魚には、これだけ低い水温の中を活発に活動できるものはまずいないと思われます。この状況下ですら元気にエサを追うバスの前には、冬場動きの鈍っている彼らは、なす術を持たないことでしょう。この決定的な生命力の差は、在来魚にとって脅威といえるでしょう。

 私が釣っているポイントでは、途中からやや型が小さくなってきましたが、アタリが止まる様子はありません。午前10時ごろになり、新メンバーであるイケダさんと今回初参加のアライさんが到着しました。イケダさんは今回磯竿での駆除に初挑戦です。バスターズのタックルは磯竿を用いたものですが、釣りは全く初めて、リールのついた竿はちょっと、という人でも、まず延べ竿で少し練習すれば、誰でもすぐに磯竿を扱えるようになります。これは年配の主婦の方でも同様です。イケダさん、アライさんは並んで漁港内の沖を狙います。私がしばらく目を離している間に、お二人が大型のバスをかけた様子、タモが飛び出しバスを掬い上げます。なかなかの腕前です。

 正午前に、LARさんが到着します。その後、KAZさん、batta21さんと次々と到着、朝は少なかったメンバーもかなり大規模な定例駆除になってきました。その頃には、私のバッカンはすでにバスで満杯となり、如水さんもバスでぱんぱんに詰まったバッカンを別の容器に移し変えにやってきます。このペースで行けば、今日はかなりの駆除量が期待できそうです。午後1時ごろに昼食を取って休憩し、後半戦へとつなぎます。


 午前中はやや暖かいぐらいでしたが、午後からは日が陰ったせいか、活性が低くなってきました。このような条件では、高感度を誇る「琵琶湖2号」が力を発揮します。一日の中でも刻々と状況の変化する中で、いかに外来魚を釣ることができるかが、大きな駆除量を得る上で非常に重要といえます。夕刻を告げる鐘の音とともに再び型の良いバスが釣れ始めます。この辺り実に律儀です。

 誰かの竿が大きく曲がっています。LARさんが38cmのバスを釣り上げました。なぜか大物を釣る人は決まっているものです(笑)。最近のバスは粒こそそろっていますが、大きくても35cmが最大でした。今日はもう一回り大きなバスも入ってきているようです。今年の冬は、去年、一昨年と比べると特異な状況です。
 夕暮れを迎え、徐々にウキが見えなくなる頃にもう一度鐘の音がなります。すると昼間はほとんど見られないギルが釣れ始めます。ギルは、冬場はなぜか朝と夕方にだけ姿を現します。これまた大変律儀な連中です。ここまで暗くなると納竿です。


 午前中はメンバーも少なく今日はどうかなと思いましたが、終わってみれば大変な釣れようで、ブラックバス820尾(101.0キロ)、ブルーギル32尾(1.5キロ)、合計852尾(102.5キロ)となり、昨年の11月24日以来、久々に100キロを超えました。本日はなかなかにハードでありました。参加されました9名の皆様、お疲れさまでした。

■ 駆除成果
参加人数 9名
ブラックバス 820尾 101kg
ブルーギル       32尾    1.5kg

合計 852尾 102.5kg
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2003年 第4回定例駆除 - 2月23日マキノ方面漁港 報告担当:だいけん
 前日は一日雨が降り、当日の天候が心配されましたが、夜中を過ぎたころには無事上がりました。特に寒さは感じず、道中の温度表示も3度と路面凍結の心配もありません。いつものように魚成さんと共に6時半に現場に到着します。他のメンバーも竿を出し初めており、皆ほぼ同じ時刻についたようです。不思議な事ですが、バスターズの定例駆除は本当に天候に恵まれることが多いですV(^0^) 。今日は早朝からメンバーが多いので、一列に並んで配置につきます。私も漁港の入り口付近のポイントをサエキさんと狙います。前回は早朝から入れ食いだったこのポイントですが、アタリはあるもののウキはなかなか沈まず、食い込みが悪いようです。何度か誘いをかけて、十分にウキを沈ませてからアワセをかけます。あがってくるバスは10cm代の小型のバスでした。横で釣っているサエキさんも同様です。まわりのメンバーを見渡しても、ほぼ同じような状態のようですが、船と船の間のポイントを釣っていた如水さんがやや早いピッチでバスを釣り上げています。型もよいようです。そのまま駆除を続けながら日が登るのを待ちます。少し離れたところで釣っている竹内さんが傷ついたバスがゆらゆらと泳いでいるのを見つけました。タモで掬い上げてみると30cm以上あります。こいつがその時点での最長寸でした(笑)。掬い上げたバスはかなり傷ついています。どうも一度陸に上げられたものの、水の中に戻ったようです。駆除をしていると、このような傷がついたバス、また傷口から白いカビの生えたバスを多く見ます。雑菌の繁殖しやすい夏には特に多いです

 ほどなく、日も高くなり暖かい日差しを感じる時間になりましたが、あまり状況に変化はありません。どうも前日の冷たい雨の影響が大きいようです。今日はなかなかの苦戦が予想されます。しかし来たからには可能な限り駆除しなくてはいけません。小型のバスをたくさん釣る作戦にでます。ときおり、20cm代のバスが混じってきますが、10cm代のバスを中心に数を稼ぎます。私の後方で、メンバーがさわいでいます。見ると、立てかけてあったサエキさんの竿の先についたままだったシラサエビを鳥が食べたしまった模様です・・・。暴れる鳥を傷つけないように捕まえます。なんとヒヨドリでした。ヒヨドリは雑食なので時には小型の水生生物も食べます。釣りには外道はつきもので、鳥とてその例外ではありませんが、30年以上の釣り歴を持つ魚成さんもこれには絶句。サエキさんは大物師ですが、同時にバスターズきっての外道の名手でもあります(笑)。幸い、針は口の横に引っかかっていたので、傷つけることなく放してやることができました(^0^) アタリが止まってきたので、如水さんが釣っているポイントの方に移動します。活性の低い日は、大型のバスは船の下に潜んでいることがあります。船の際を狙って竿を振り込みます。このポイントからは20cm代のやや型のよいバスがあがってきます。そうこうしているうちに正午が近づいてきました。天気はよいですが、強い風も吹き始めました。釣れ続く日はなかなかきりがつきませんが、今日はこの時間で昼食を取ります。

 一息ついてから、後半戦です。午前中、私が釣っていたポイントでブルーギルが何匹も釣れているようです。魚成さんとアライさんが二人で競うように釣っています。寒い季節になるとギルは夜明けと夕方にしか現れなくなりますが、今日は日中から出てきています。ギルのこうした振る舞いは、バスに比べて低水温に弱いことが関係しているようですが、まだよくわからない事が多いです。いずれにせよ、釣っても釣ってもバスとギルの二種類の外来魚ばかり釣れるのが今の琵琶湖の悲しい現実です。

 3時ごろ、午前中の大物ポイントを魚成さんと狙います。少し前から入っていた魚成さんが入れ食いになっているようです。今日は午前中が厳しかったので、この時合いを逃しては大きな釣果は得られません。午前中に比べるとバスの動きも活発になっているようです。小さな前アタリから、ウキがゆっくりと水面へと潜っていきます。十分ためてからゆっくりと大きくアワセを入れます。右へ左へと走り回るバスをいなしながら水面に浮かせて、後はタモで掬います。今日は貴重な30cmオーバーのバスでした。おや?魚成さんが釣り上げたバスの口に別の針がかかっているのを見つけます。これは海釣り用の針です。犯人はバスターズにまず間違いありません(笑) 誰かがアワセ切れをしてしまったようですね。たくさん駆除をしていると針がかかったバスが釣れることは珍しい事ではありません。私も以前、のどの奥に大きなワーム針がかかったままのバスを釣り上げたことがあります。魚には一般に痛覚はないと言われているようですが、それにしてもバスの貪欲さには閉口するばかりです(-.-;) 沖を狙っているメンバーの方からも声が聞こえます。そちらでも食いがたっているようです。

 午後5時も過ぎ、日も落ちてきました。集計のために駆除したバスを持ち寄ります。アライさんが、例のギルポイントで粘っているようです。すでに連続でギルが釣れているので、私がもうバスはもう釣れないだろうと見ていると、アライさんの竿が大きく曲がります。タモで掬いあげてみると、なかなかに型のよいバスではありませんか。この粘りには思わず拍手でした。

 午前中の食いが渋く、結果が気がかりでしたが、後半の追い上げで、バス 478尾(52.0キロ)、ギル 82尾(2.8キロ)、合計 560尾(54.8キロ)と、50キロオーバーの戦果となりました。全員の粘りの駆除が光っていた今回の駆除でした。また今日はハプニングも多く退屈しない一日でしたね。参加されました10名の皆様、お疲れさまでした。


■ 駆除成果
参加人数 10名
ブラックバス 478尾 52.0kg
ブルーギル       82尾    2.8kg

合計 560尾 54.8kg
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コラム − 『琵琶湖におけるバス・ギルの比率』 執筆者 : MASA

 琵琶湖の外来魚で最も多いのがブルーギルであると、一部ではブラックバスの影響はブルーギルのそれに比べると少ないと言われてきました。確かに、南湖では漁協が仕掛けた網に入る魚の87%がブルーギルであるのに対して、ブラックバスはほんの2%でしかないという数字もあります。(戸田直弘「わたし琵琶湖の漁師です」p138)このような数字を根拠に、一部では全琵琶湖の外来魚のうち70%以上場合によっては95%以上がブルーギルであるということが主張されています。

 しかし、外来魚バスターズがこれまで北湖で駆除を行ってきて得られたデータは、これとは全く正反対です。2002年の統計では、駆除の際に確認できたブルーギルの個体数が3655であるのに対し、ブラックバスのそれは9974です。また、2003年の統計では3月2日現在の数字でブルーギルの個体数が361で合計15kgであるのに対し、ブラックバスの個体数は4283で504.4kgです。昨年の数字は年間を通した数字であるのに比べ、今年の数字は1月から現在まで冬季を中心とした数字です。

 この数字の違いをどう捉えたら良いのでしょうか? 1つには北湖と南湖の違いと捉えることができます。ただ、同じ北湖でも季節による変動はあります。他の原因として、網による駆除と釣りによる駆除という方法の違いがあります。前者ではブラックバスが網を避けているという可能性が考えられます。少なくとも全琵琶湖の外来魚のうち70%以上がブルーギルであるという主張には北湖の実態を捉えていないように思えます。もちろん、我々は漁協が努力して積み重ねてきたデータを批判しているわけではありません。ただ、琵琶湖の生態系を把握する上で南湖中心の網による駆除のデーターだけから、琵琶湖の外来魚の実態を推し量るには無理があるということを指摘したいだけです。

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■ おわりに

 2月は、この2回の定例駆除を含め、のべ15回の駆除を行い、2月末をもって昨年の目標の折り返し点である月間駆除量500キロを達成しました。来月から外来魚が産卵を目前に控えた時期を迎えます。外来魚バスターズは、これをひとつの山場と捉え、さらなる目標を目指して駆除活動を行います。

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