京都鴨川上流
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=== 外来魚バスターズ 駆除活動報告 ===
ロクマル駆除 〜 琵琶湖解放の戦い 〜  報告担当:KAZ
 その時は、いきなりきた。ズシッという手応えを感じた右腕は肩の先30センチから上がらない。その先につながる2号の磯竿は半円を越え、さらに曲がろうとしている。一瞬よぎった根掛かりの疑いは、次の瞬間竿を持つ手に左手を添えねばならないことで消え去った。

 大物。

それまでつり上げた50バスとはあきらかに違う手応えに60の期待が浮かび上がる。しかし、まずは目の前のこいつを上げることが先だ。必死に竿を支えながら、戦略を練る。運悪く、掛けた場所は船の間。係留ロープが前後に張り巡らされている。走られたら終わりだ。ここは2号の竿と2.5号のハリスを信じて踏みとどまるしかない。奴との綱引きが始まった。動きを封じられた奴が首を振る。その度に腰を落として踏みこたえる。幾度かのやりとりを経てその巨体が見えるのにどのくらい時間が掛かったのだろう。
 そんなことも忘れ去ってしまう静止した時間の中から現れた姿は見慣れたバスの体型ではなかった。そして、フィニッシュの取り込み。ところがこの時、奴が最後の力を見せた。岸壁近くにまで寄った奴の身体が一番手前のロープをくぐる。突っ込みをかわすために竿を立てる。奴の身体がロープを一巻きしたところで停止した。隣のメンバーに両手ですくいとられた奴はカーボンの玉の柄をきしませて揚がってきた。

 これが60。

 その体高はおよそバスのものではない。魚体は、メジャーの64センチのところまで達し、バネばかりの針は5.4キロを指した。
 いったいこんな奴がどれだけいるんだろう。こいつらだけじゃない。それにつらなるピラミッド状の広がりを見せるはずのバス全体を想像すると、とんでもない数が目に浮かぶ。なぜ、こんなことになったのか。こいつを釣り上げるために競ってルアーを投げる人間がいる。需要を満たすためにまた放流する人間がいる。そこに介在しているのは、金、金、金。おまけに釣った魚は条例違反のリリースだから増える一方だ。こんなことを繰り返されたら太古から琵琶湖に住み続けてきた小魚たちはたまったものではない。

 多くの犠牲の上に成り立っているバス釣りが自然に優しいとはとんだお笑いぐさであることは明白なのだ。業界には猛省を促し、行政には違法行為の取り締まりを厳重に実施していただきたい。

 そして、わたしは、今日も釣り続ける。
 琵琶湖から外来魚がいなくなる日まで。
 バス駆除は琵琶湖解放の戦いなのである。
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