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=== 外来魚バスターズ 定例駆除活動報告 2004年 春期 ===


2004年 産卵期大型バス駆除大作戦!! 報告担当:だいけん
 外来魚バスターズでは、去る4月から6月にかけ産卵期を迎えた大型バスを対象に重点的な駆除活動を行ってきました。長い冬の寒さも終わりを告げ、桜の花が咲き始める頃、ブラックバスの産卵は始まります。本年上半期の総括として、産卵バスの駆除活動の模様についてレポートします。
 産卵期のバス駆除には、二つの大きな目的があります。一つは産卵する前の卵を持ったバスを駆除することです。産卵を阻止することができれば、翌年のバスの個体数に大きな打撃を与えることができます。これを継続的に行えば、2、3年後の個体数は大きく減少すると期待できます。もう一つは大型バスの駆除です。4月から6月にかけての三ヶ月間は、産卵期であると同時に、最も大型のバスが現れる時期でもあります。大型バスは警戒心が強く普段はあまり姿を見せませんが、この季節だけは産卵場所を求め、浅い場所へとやってきます。大型バスは、小型の個体よりもより多くの在来生物を捕食するので、これを駆除する効果は大きいです。さらに、大型バスの特徴として産卵期に持っている卵の量が多いことが挙げられます。一般に、バスの抱卵数は重さ190グラムの個体で約500粒、450グラムの個体で約14,000粒といわれています。体重450グラムのバスは、約30センチ程度の3歳魚にあたります。


 昨年春に駆除された63センチのバスは、重さが4.5キロありました。このバスは産卵前のメスで、持っていた卵を量ったところ、なんと重さが200グラムもありました。20センチ程度の小バスに匹敵する重さです。抱卵数が体重にほぼ比例するものと考えると、この63センチのバスの持っていた卵の数は、14万粒もあったことになります。オスで考えた場合、大きな個体ほど卵や稚魚を守る力は強いわけですから、より多くの稚魚が孵ることになります。つまり、バスは、一旦産卵可能なサイズに達してしまうと、より大きなバスがより多くのバスを育て、その個体数を加速的に増やしてしまうと考えられるのです。長期的な視点に立ってバスを撲滅していく上で、このような大型バスの駆除が効果的であり、また重要であるのは明らかです。産卵期の大型バスの駆除は、例えるなら、多数の艦載機を積んだ巨大な空母を撃沈するようなものです。この季節は、押し寄せる敵の大艦隊を迎え撃つ、駆除活動における一つの決戦期ともいえます。


 今年は3月から6月を産卵バス・大型バスの重点駆除期間とし、40センチ以上のバスについて詳細な記録を取った結果、60センチ以上の個体が4尾、50センチクラスが64尾、40センチクラスが187尾となり、合計255尾の大型・超大型バスを駆除しました! 駆除個体数が、昨年に比べて大幅に上がっているのがわかります。これは、メンバーの釣りの技術が向上したことと、タックルの性能が高くなったことによります。バスターズにはベテラン海釣り師も多くいますが、当初釣りは初心者であったメンバーも同様にたくさんいます。大型バスの駆除は小型のものに比べると難しいものです。しかし、熱心に不断のトレーニングをつめば、比較的短期間で大型の駆除もできるようになります。このメンバー全体の技術力の向上が、今回の大きな成果につながっているといえます。
 もう一つは、タックルの向上です。バスターズでは、海釣り専用の竿とされてきた磯竿を淡水の琵琶湖に持ち込み、これにバス駆除専用に開発した琵琶湖ウキを併用することで、これまで大きな駆除量をあげてきました。しかし、大物を駆除するためには、やはりそれに対応したタックルが必要です。より適切なタックルを求め、改良を重ねてきたことも、多数の大物駆除につながったと考えています。実際の駆除を支えるのは、人の力であり、決して机の上の議論ではありません。成果に慢心することなく、技術革新を継続しなければ、駆除量の向上は望めません。
 一方で、ロクマルバスについては昨年度の駆除数が14尾であったのに対し、今年は4尾という結果でした。すでに述べたように、合計駆除数、特に50バスの駆除量が大きく増えていることからも、バスターズ全体の駆除力は昨年よりも高くなっています。しかし、ロクマルバスだけが増えていないのは、ロクマルバスの絶対数が少ないためと思われます。バスはあまり広い範囲を回遊せずに、根魚のように狭い区域に留まって生息する性質が見られるので、一定個体数を集中的に駆除すると、勢力の回復には時間がかかると考えられます。昨年ロクマルバスを多数駆除したことが、今年のロクマル駆除数の減少につながっているのではないかと考えています。

 それでは、3月・4月の大型・産卵バス駆除の模様について紹介していきたいと思います。今年の大型バスの来襲は、早くも3月上旬からスタートとなりました。3月6日には、51センチ、9日には58.5センチ、そしてその翌日の10日には、ついにロクマルの60.5センチを撃破しました!このロクマルバスは体重が3.0キロでした。まだ十分に卵が成熟しきっていないようでした。体重が軽い個体の方が一見釣りやすいと考えてしまいますが、その泳ぐ力は身重の個体とは比べ物にならないほどすさまじいものです。右側の写真は、58.5センチですが、これも3.0キロでした。


 
3月15日にもロクマル63センチ、3.7キロの巨大バスが駆除されました!このバスは、体高が高く、とてもバスとは思えない姿をしています。この時、大物に備え、2号の磯竿を用意していましたが、それでもこのバスは猛烈な突進を繰り返し、竿を満月のように曲げ、ドラグをジリジリと引き続けました。しかし、死闘の末、ベテラン海釣り師の技の前にようやくその体を水面に横たえました。これほどの大物を仕留めるためには、高い釣りの技術と経験が必要となってきます。

 次は3月下旬のものです。左の写真、一番手前のバスが、52.5センチ、1.9キロ、右側の写真が50センチ、1.9キロでした。バスだけでなく、ギルも多く見られました。バスが大きいのでわかりにくいですが、20センチ以上もある大型のギルも含まれています。春は大型のギルも活発に活動します。


 バスターズはこれまで、湖西・南湖を重点に駆除活動を行ってきましたが、今年は湖東方面でも活動を行っています。これは3月下旬の湖東駆除の様子です。


 左の写真の手前が、58センチのバスです。腹部には大きな卵を持っていました。もう産卵間近という様子でした。卵は本当にタラコのようです。この日は、この58センチを筆頭に、50センチオーバーが4尾、40バス16尾が駆除されました。合計駆除量は60.5キロの大戦果となりました。バス125尾に対し、ギルはわずかに2尾でした。冬場から春にかけての寒い季節は、寒さに強いバスが優勢です。

 4月に入ると、本格的な大型・産卵バスのシーズンに入ります。4月11日の定例駆除では、最長寸59センチを含む50バス14尾が駆除されました。この日、バス224尾113.2キロ、ギル357尾27.3キロ、合計601尾、140.5キロと、バスだけで100キロを越えました。バス1尾の平均重量は463グラムにもなります。30センチ超のバスの重量がだいたい500グラム程度です。これらのバスには10センチ代の小型のバスも含まれていますので、この日のバスがいかに大きかったかがわかると思います。これだけの巨大なバスがいれば、在来魚相に深刻な影響を与えることは議論を待たないでしょう。集計のためにバスを集めている様子は、さながら魚市場のようです。これが世界有数の古代湖である琵琶湖の現状なのです。


 4月25日の定例駆除でも、57センチ、53センチのバスが駆除され、バス197尾32キロ、ギル645尾36.6キロ、合計842尾68.6尾の戦果となりました。この日は前回の定例駆除と違って大型バスの数は減り、代わりにギルが非常にたくさん見られました。この季節のギルは非常に大きく、写真のような20センチ代のギルも多く見られます。この他、個人駆除では、4月17日に64センチ、5.2キロの今年度通産3匹目のロクマルバスが撃破されました!4月上旬までのバスに比べて、重量が増していることがわかります。これも体高が高く、まるでタイのようです。周囲に移っているギルやバスが本当に小さく見えます。


 定例駆除で駆除された大型バスの側線のある鱗の数を数えてみました。その中には、70枚を優に超えている個体が見られました。ノーザンバスとフロリダバスはこの有孔側線鱗の数によって見分けられるとされていますが、これはフロリダバスの特徴を示しています。

 昨年、外来魚バスターズでは琵琶湖のバスのDNA鑑定を実施し、琵琶湖にフロリダバスの遺伝子を持つ個体が見出されたことをホームページ上で報告しました。さらに、その後も調査を続けた結果、現在、琵琶湖のかなり広い範囲でフロリダバス固有の塩基配列を持つ個体が存在していることも確認しています。これは明らかにフロリダバスの密放流が、個人レベルでの放流ではなく、組織的で大規模な計画によって実施されていることを示しています。この70以上の有孔側線燐のあるバスを駆除した場所でも、フロリダバスの遺伝子を持つ個体が多数確認されています。おそらく付近で大量のフロリダバスが投げこまれたに違いありません。ここで大型のバスが多数見られることとも当然関係しているでしょう。
 この琵琶湖のフロリダバスの遺伝子は、国民全体の財産である国土や固有の自然を自らの私産としか見ず、さらにはノーザンバスだけでは飽き足らずにバスのさらなる大型化を目論み、私腹を肥やそうとした者達が現場に残した足跡です。昨今、連日のように報道される腐敗政治家達の贈賄事件が示すように、いかに隠そうとも、いかに関わりを否定しようとも、これほどの悪事を働けばいつかは世の明るみになる日がきます。そして、遠からず、その捌きを受ける時がやって来るでしょう。バスターズでは引き続き調査を行い、この琵琶湖のフロリダバス調査結果について報告したいと思います。

 今回報告した3月、4月に引き続き、5月、6月も多数の大型・産卵バスが駆除されています。これらの模様についても順次レポートしていきたいと思います。

■ 3月〜6月 産卵バス・大型バス 重点駆除期間成果
60センチ以上   4尾  
50センチ級 64尾
40センチ級      187尾   

合計 255尾

ブラックバス最長寸 64cm
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