京都鴨川上流
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=== 外来魚バスターズ 定例駆除活動報告 11月号 ===


2003年 第21回定例駆除 11月9日 マキノ方面 報告担当:だいけん
 マキノ方面は先週から外来魚が減少している傾向が見られます。重点的な駆除の影響と思われますが、今回はどうでしょうか。

 今日は、早朝から小雨に見舞われながらのスタートとなりました。天気予報でもぐずついた一日ということで、天候が心配されます。まずは船の下のポイントを狙い、仕掛けを投入します。すると、一投目から小バスが釣れてきました。食いがたっているようで、二本針ともバスが食いついてきました。気温は、雨の影響もありやや下がり気味ですが、外来魚の食欲は衰えていないようです。しばらくバスが釣れ続き、9匹目にやっと今日の初ギルが釣れました。サイズは前回までの定例駆除でたくさん見られた中型のものとは違い、10センチにも満たないものでした。他の場所でも、バスの率が高いようです。今日は、しばらく見なかったカワウの姿も見られます。カワウは、小バスが多い場所によく現れるので、今日はバスが多く入ってきているのでしょう。


 私の釣ったポイントでは小型のバス・ギルばかりでしたが、別の船の下では、20センチ以上のバスがたくさん集まっていました。その中で釣り上がった30センチ以上あるバスの口から、小魚がはき出されてきました。ワカサギでした。まだ原型をとどめており、食べられて間もないようです。この付近でもワカサギの群れが入ってきているようです。

 正午を過ぎてからも、外来魚は盛んに餌を追ってきました。午前中はあまり見られなかった大型のギルも時折見られました。バスも20センチ後半のサイズのものが混じりはじめます。午前中、中型のバスがたくさん釣れた船の下ポイントでは、35センチのバスが見られました。今日は全体的に小さいので、ひときわ大きく見えました。


 10月から11月の秋の頃は、外来魚が活発に餌を追う季節であり、二本針にもどんどん食いついてきます。バスもギルも異常繁殖している魚なので、普通の釣りでは起こりえない光景もよく目にしますが、今日もこんな事がありました。二本針の両方に魚が食いついてきたときは、倍の重さがあるのですぐにわかるのですが、水面から上がって来るにつれ、かかったのが2匹ともバスであるのが見えました。一匹目は小さいようですが、もう一匹目のバスはかなり大きいようです。一気に引き上げようとしたところ、一匹目の小バスは上がったものの、もう一匹の大きなバスは針から抜けて落ちてしまいました。ところが、大きなバスがはずれたはずのその針には、ずっと小さなバスがしっかりとかかっていました。大きい方のバスは、針にかかっていたのではなく、針にかかった小バスに食いついていたのです。もしこれを釣りと呼ぶのであれば、これはもはやルール無用の無法な釣りといえるでしょう。

 これほどまでに旺盛な食欲を見せるのは、もはや増えすぎたバスにとって餌が十分にないことを示しています。目前の魚類や甲殻類などを食い尽くし、餌が不足したあげく、最後は自らの仲間を食いあうのが、日本におけるブラックバスのたどる末路といえます。雑食性のブルーギルもまた同様といえます。このような事は、琵琶湖だけでなく、どこででも起こりうることであり、現に起きているからこそ問題となっているのです。しかしこの状況にあっても、「バスもいずれその生態系に落ち着く」、などという主張が未だにあります。「落ち着く」とは、いかにもごく自然のことであるかのような印象を与える表現です。しかしその「落ち着く」過程で破壊され失われていくものがあり、それが問題となっていることは言うまでもありません。的のはずれた実にお粗末な主張であり、極めて無責任なものと言わなければなりません。


 この現場には、いつも多くのバサーが来ています。定例駆除は日の出の頃から開始しますが、その少し後ぐらいから、バサーがやってきます。地元や京都、大阪の他、岐阜や名古屋の車がよく見られます。バスターズのメンバーがバスをどんどん釣りあげていくのを見ていて興味を持ったらしく、バサーの青年が、私に使っているエビを一匹くれないかと、話しかけてきました。釣れたバス・ギルは駆除ボックスに入れるという条件付きで、エビをあげました。それでもなかなか釣れないようで、二度三度ともらいにきていました。私が、釣れたか、と聞くと苦笑いをしていました。それでも四度目には10センチほどの小さなバスをなんとか釣りあげ、私のところに見せにきてくれました。彼とその友達は、バッカンに入っている20センチほどのバスを見て、「このバスならワームを食ってもおかしくないのになあ」、と、少し羨ましそうに話しながら帰っていきました。


 今日のように外来魚の食いが活発な日は、我々にとってはそれこそ休む暇もないわけですが、彼らのようにルアーで釣っているバサー達を見ていると、全く対照的に、誰も釣れていません。これは今回に限ったことではありません。琵琶湖のバスは釣れなくなった、とはよく言われますが、それはあくまでも、バサーのルアー釣りから見た話です。釣れないといっても毎回の駆除結果が示すように、決してバスがいなくなったわけではないのです。本来、ルアー釣りは数をたくさん釣るための釣りではありません。ルアー釣りの結果からは、本当の湖面の現状を推し量ることはできないのです。逆にいえば、みんながルアーでたくさん釣れるためには、それこそものすごい数のバスがいることになります。
 すなわち、「みんながバス釣りを楽しめる環境」とは、もはや「バスしかいない環境」であり、日本におけるバスとの共存などというものは、机上の空論でしかありません。琵琶湖に見るこの現状が、何よりそれを物語っているのです。


 今日は雨が心配されましたが、風がやや強かったものの、昼前からは日も差し、概ね晴天に恵まれました。外来魚は全体的にやや小型でしたが、バスを中心に60キロ以上の戦果を上げることができました。終日奮闘いただきました七名の皆さん、ご苦労さまでした。

■ 駆除成果
参加人数 7名
ブラックバス 705尾 39.5kg
ブルーギル       292尾    22.3kg

合計 997尾 61.8kg

バス最長寸 35.5センチ
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2003年 第22回定例駆除 - 11月23日 マキノ方面 報告担当:なかやま
 外来魚バスターズでは、メンバー各々が休暇やわずかな時間を使った個人駆除を頻繁に行っており、その時の情報をもとに定例駆除のポイントが決定されます。夏の終わりからずっと駆除を続けているマキノ方面の漁港では、小型ながら数多くのバスが漁港内に集まってきている様子が報告されました。また、南小松方面の船溜りでは最近、中小型のバスが増加傾向にあるようです。そこで、今回の定例駆除では本隊をマキノ方面に置き、別働隊2名を南小松方面に派遣する体制で臨みました。

 夜から降り続いていた雨も、日が昇る頃にはあがり、湖面からはもやが立ち込めます。私は防波堤のポイントに入り、エビを撒くと、小型のバスがうようよと集まってきました。そこで今日も、二本針フカセの仕掛けを使うことにします。


 秋に入り駆除される外来魚の数が増えてきたので、私は釣った魚をいれるバッカンを二まわり大きいものに換えました。バッカンが一杯になると、気持ちもいっぱいいっぱいになり、駆除の効率が下がってくるからです。しかし今回は、数は釣れるもののほとんどが15cm程度のバスなので、釣れども釣れどもバッカンの中身が増えた気がしません。釣れば釣るほど、バスとともにストレスもたまってくる気がします。もはやこれは釣りではなく、単純作業でしかありません。この作業をいかにストレスなくこなすか、長く駆除を続けるためには技術だけでなく、精神面での工夫も必要となってきます。

 今日は連休ということもあり、たくさんのバサーが来ています。滋賀県職員の方がやって来られ、一人一人にポケットティッシュを手渡していきます。琵琶湖ルール普及のためのお仕事のようです。


 ふと横を見ると、数日前の個人駆除の折に見かけたバサーがいます。その時は、ルアーで小型のバスを結構釣り上げていましたが(もちろん釣ったバスは無造作に湖面に投げ捨てていました)、今日はほとんど釣れていないようです。最近のこの漁港には、バスとギルしか居らず、小型のバスは体高が高くヒレの鋭いギルを捕食することが出来ないので空腹状態にあり、ルアーにも反射的に食いつくことがあります。しかし、駆除を集中的に行ったことにより密度が急激に減ると(そうは言ってもまだたくさん居るのですが)、警戒してなかなか掛かりにくくなります。スレるという状態です。エビを生餌にした場合でも、これまでは餌をすぐに飲み込んだため体の奥の方に針が掛かっていたものが、今回は上顎の先端にしか、それもうまく合わせなければ掛からなくなっています。餌をくわえてもすぐには飲み込まなくなっているのでしょう。これでは、たとえルアーをくわえたとしてもすぐに吐き出しているのに違いありません。

 10時半頃から、漁港はワカサギの水揚げでにぎやかになりました。今年は豊漁なのでしょうか。大きなトラック2台に次々と積み込まれていきます。琵琶湖では、ワカサギも国内の他の水系から導入された国内外来種です。この事をもって、ワカサギが移入されているのだからバス・ギルも居て構わない、とする意見があります。これは擁護派と言われる人々お得意の話のすり替えであり、もはや語る舌を持ちません。ただ、世間の人々がこのような屁理屈に惑わされないように、生物多様性の意義や外来生物の問題、それらと人の暮らしや文化などとのかかわりについて、自然科学、人文・社会科学的知見に基づいて学者や行政が啓発していく必要性は強く感じます。


 ワカサギの水揚げが続く漁港内では、ワカサギの小さな群れがバス・ギルに追い立てられ、あっと言う間に壊滅される光景が見られました。何ともやり切れない現実でした。ただ1匹残ったワカサギを網ですくってみましたが、傷つき瀕死の状態です。このまま逃がしても生き残る可能性はありません。そこでこのワカサギを餌に、ワカサギを捕食していたバスを釣り上げ駆除することに成功しました。


 昼食には、用事を済ませ昼前に駆除に駆けつけたメンバーお手製のおでんがふるまわれました。寒い季節には、あたたかい食事はたいへんありがたいものです。目の前では3羽のカモメが飛来し、水面上で羽ばたきながら魚をすくっています。バスが上層に浮いてきているのでしょう。漁港の外でも同じような光景が見られました。


 午後も同じようにバスが連れ続きます。3時頃になると、ギルも混じり出します。20cm以上のギルが二本針に同時に掛かると、さすがに重さを感じます。が、そこは磯竿の馬力で見事に釣り上げます。今回また、変わった形のギルが釣れました。背びれの後部が三角形にえぐられています。鳥の嘴でくわえられた時の傷でしょうか。

 一方,南小松方面では、今日も中小型のバスが大量に船溜りに入ってきているようです。別働隊2名のうち、一人は独特の胴付仕掛で深場を攻め、20〜30cm前後の比較的型の良いものを釣りあげていきました。もう一人は数で勝負と、足元に見える小型のバスを、エビを少量ずつ撒きながら琵琶湖浮きを使った浮き釣りで大量に駆除していきます。そのまま3時頃まで釣れ続き、結局30キロほどの駆除量となりました。


 たくさんの獲物を手に、夕刻、別働隊のメンバーが本隊に合流しました。まだ釣り足りないのか、再び竿を出します。ちょうどこの頃、水面にたくさんの波紋が見られるようになりました。いつものギル時合いのようです。この後、釣れるのはギルばかりとなりました。

 防波堤の外では、漁師の方が刺し網を入れています。外来魚を駆除するためのものです。刺し網では、一度に150kgを捕獲する時もあれば、まったく獲れない時もあるそうです。網にもスレるのでしょうか。網を行き止まりの通路のようにはりめぐらせる‘えり’を使っても、バスは胸鰭を器用に使って静止ばかりか反転もできるようで、一旦えりに入っても脱出してしまい、なかなか駆除できないそうです。一方、バスターズでは、10名弱の人数で50kg〜100kg以上の外来魚をコンスタントに駆除しており、一般市民による駆除の方法として釣りがいかに有効かがわかります。


 今回は、型が小さいこともあり、2箇所での合計重量は73.6kgでした。しかしその数は1486匹と、大変なものでした。そのほとんどがバスです。バスの個体数を減少させていくには、成熟前の20cm以下の個体を大量に駆除することも効果的と考えられます。冬場には、小型とは言え大量に集まってくるバスを粘り強く駆除する必要があります。

これで今年の目標である3トンまであと100kgを切りました。本日奮闘いただきました9名の皆様、お疲れ様でした。

■ 駆除成果
参加人数 9名
ブラックバス 1266尾 61.1kg
ブルーギル       210尾    12.5kg

合計 1476尾 73.6kg
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