京都鴨川上流
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=== 外来魚バスターズ 定例駆除活動報告 10月号 ===


2003年 第19回定例駆除 10月12日 マキノ方面 報告担当:なかやま
 今回の定例駆除の3日前、3人のメンバーによって680尾65.4kgの外来魚が駆除されました。しかしこの漁港には、まだまだ多くの外来魚が集まってきているとのこと。一人20kgを目標に、今日の定例駆除はスタートしました。
 夜明け前に漁港に到着すると、水面に光るものが見えます。近寄ってみると、やはりメンバーでした。すでに何匹ものバス・ギルを釣り上げています。バスターズでは、夜間駆除専用の浮きも開発しており、時間が許せば夜明け前や日暮れ後にも駆除をしています。
 私は舟の間のポイントに入り、仕掛けを投入します。と、餌のエビをめがけて、舟の下から魚が出てきます。バス、ギルとも、20cm弱の大きさです。このサイズだと、バスは何の抵抗もなく抜きあげることができます。バスよりもギルの方が掛かった瞬間に感じる抵抗は大きいのですが、1.5号の磯竿を使用していますのでやはりあっけなくあがってきます。

 このサイズが多数を占めているなら、複数の針を付けた仕掛けでも釣りあげられるのでは?と思いつつも、いつもどおりにたんたんと駆除を続けます。日もすっかり昇った頃、船の間の一点を見つめるのに疲れ、少し離れたところを見やると、魚成代表の竿が大きく曲がっています。大型のバスか?と思って見ていると、二匹の外来魚があがってきました。沖釣りでのマダイ・ヒラマサ用のテンビンフカセ及び完全フカセに使われる仕掛けを外来魚駆除用に改良した「二本針フカセ釣法」で、一度に2尾のバス・ギルを釣りあげていたのです。


 そこで、私もこの釣法を試してみました。仕掛けを投入すると、どちらかの針についたエビに、バス・ギルがこれまでと同様すばやく食いつきます。しかしここですぐにあわせることはせず、もう一つの針にもバス・ギルが掛かり、浮きの動きが変わるのを待ちます。ここで軽くあわせて引き上げると、見事!2匹の外来魚が釣れました。最初の針に掛かったバス・ギルを、エビをくわえたまま泳がせておくと、もう一方の針素が引っ張られるので、エビが元気良く泳いでいるように見えるのでしょうか、2本目の針にも外来魚が掛かる確率はかなり高いものでした。バス・バス、ギル・ギル、ギル・バス、バス・ギルと、すべての組み合わせで釣れてきます。この釣法では、手返しが早ければ通常の打ち返しの二倍の外来魚を釣りあげることが可能となり、活性の高い外来魚を非常に効率よく駆除できることがわかりました。

 以後、この釣法で、クーラーに腰掛けたままずっと同じポイントで釣り続けましたが、夕暮れが迫り35cmのバッカンがいっぱいになってもなお、水面下に見える外来魚の数は減りません。次から次へと湧いてくるように思えます。この漁港近くには、あたたかい地下水の湧いている場所があります。おそらく、この漁港にも地下水の湧く場所があり、外来魚の集まるポイントになっているのではないかと思われます。

 今日は遠く千葉から釣楽さんが参加されています。夕刻、ふとそちらを見ると、18リットルのクーラーからはすでに外来魚が溢れ出ていました。ずっと私の隣のポイントで釣っておられたのですが、いつの間にこんなに?!まったく気づきませんでした。さすがはテンカラ師、気配を消して釣っていたのでしょう。お一人で22kg、本日の参加者中で一番の駆除量でした。


 いつものように皆で釣りあげた外来魚を広げ、計量が終わるともう真っ暗。これからの時期は、日の落ちる時刻が早く、日が落ちると寒くなるので、計量だけでも大仕事になります。結果はブラックバス608尾39kg、ブルーギル1300尾94kgの合計1908尾133kg。記録的な駆除量となりました。

 8月後半にマキノ方面に駆除の拠点を移して以来、ギルが数、重量ともにバスを上回っていました。これは昨年までの北湖では見られなかった現象です。バスが在来種を捕食してできた空間に、後からギルが入ってきて増殖するという考えがありますが、最近の北湖ではギルが増えてきているのかも知れません。前回の定例駆除ではこの傾向が逆転したのですが、また今回、ギルの数量がバスを上回りました。秋が深まるにつれて、外湖よりあたたかいこの漁港に、バスよりも先に中・大型のギルが入って来て、それが大量に駆除され、空いた場に小型の当歳バスが入って来る。そのバスが駆除され、またギルが入ってくる。ここ数回の定例駆除の結果は、この繰り返しを示していると考えられます。

 在来魚の姿は今回、まったく見られませんでした。20cmほどの小型とはいえ、食い気の張った当歳のバスがこれだけ居るのです。前回に見られたウグイやアユの群れも、すべて食われてしまったのでしょう。減少傾向に入ったと言われる外来魚ですが、まだまだとんでもない数が居り、繁殖し、食害を続けています。しかしまた、バス・ギルの行動範囲はそう広くないとも言われています。この漁港のような外来魚が集まって来るポイントで根気良く駆除を続ければ、本当に減少傾向に入る日が必ず来ることでしょう。
 さて、これで駆除活動は終わりではありません。この後、駆除した外来魚を処分するのですが、滋賀県の設置した駆除BOXはこの近くにはなく、南湖方面まで車に積んで運ばねばなりません。渋滞があると1時間以上かかります。また、100kgを超える外来魚は、一つの駆除BOXには収まりきらないため、複数の駆除BOXに分けて入れる必要があります。駆除で疲れ、計量で冷えた体には相当こたえる作業です。外来魚の処分体制がさらに整備されることを願います。

■ 駆除成果
参加人数 12名
ブラックバス 608尾 39.0kg
ブルーギル       1300尾    94.0kg

合計 1908尾 133.0kg
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2003年 第20回定例駆除 - 10月26日 マキノ方面 報告担当:だいけん

 今年は例年に比べると秋に入っても暖かい日が続いていますが、今日は早朝から冷え込んでいます。また前日の夜から雨が降ったらしく、路面が濡れていました。水温もかなり下がっていることが予想されます。

 ここしばらくまとまった雨が降っていないので、水位もかなり下がっています。前回よりも一枚多く着込んで、ここしばらくよく釣れている船の下のポイントを狙いました。コンディションとしてはやや悪いですが、今日も外来魚の活性は高く、一投目から釣り上がってきます。今日はバスが多いようです。どれも20センチ程度の小型のバスですが、かなりたくさんいるようです。外湖から群れが入ってきているようです。


 前回、抜群の威力を発揮した「二本針フカセ釣法」に、私も今回挑戦してみました。十分に食い込ませてから合わせると、二匹のバスがぶら下がっていました。次は、バス・ギルを釣り上げました。一方の針に外来魚が食いつくと、もう一方が引っ張られて非常に食い気を誘うようです。食い気のあるものは、エサがついていないカラ針にもかかってきます。今回のような外来魚の魚影が濃く活性が高い時には、非常に効果的な釣法といえます。いつも使っているバッカンが見る見るうちにバスで埋まっていきました。


 今回釣り上がったギルの中に尾部が体に食い込んでいるものが見られました。たくさんの外来魚の中には時折このようなものも見られます。

 今日は久しぶりに在来魚が釣れました。28センチのギンブナでした。また、同じ場所でこんどは33センチのゲンゴロウブナが釣り上がってきました。このサイズになると、今日見られるサイズのバスには食べられずにすみます。いつも異常な数の外来魚を見ていると、在来魚の一匹一匹が本当に貴重な存在のように思えてきます。写真を撮った後は湖に戻してやりました。この現場は在来魚にとっても生育に適した場所といえます。バス・ギルがもっと減少すれば、今後在来魚も徐々に増えてくることでしょう。


 昼に近づくと、気温も高くなり、少し暑いぐらいになってきました。外来魚達も移動をはじめたのか、はじめに釣っていたポイントではアタリが止まってきました。漁港の中心を見に行くと、バスがひしめき合っているのが見えます。めだって大きな個体は見当たりませんでしたが、とにかくものすごい数です。休憩をはさんでから、ポイントをそちらへ移すことにしました。


 仕掛けを投入すると、無数のバスが寄ってくるのが見えます。釣り針についているエビを取り合っています。二本の針のうち、わざとエサをつけないでおいた方の針にも食いついてきます。すさまじい食欲です。異常繁殖の結果、エサ不足に陥っているのがわかります。二時をすぎた頃から、午前中は見られなかった20センチ代の大型ギルが釣れ始めました。竿にかけた魚がなかなかあがってこないと思ったら、二本針の両方に大きなギルがかかっていました。地面を釣っているかのような感覚です。少々重くはありますが、磯竿を使っていれば、これでも十分釣り上げることができます。ギルだけではなく、バスについても30センチを超えるサイズのものが同じ時間帯から見られはじめました。昼から釣れだしたのは、午前中の水温が低かったためと思われます。時合いはその後しばらく続きましたが、日暮れからアタリも止まり今日の駆除を終えました。


 今回はバス・ギル合わせて1400匹以上97キロの大戦果を上げました。数ではバスがギルを上回りましたが、重量では後半釣れた大型ギルが大きなウエイトを占めました。これからの時期はバスの比率が増えてくるものと思われます。また、今日は一人当たりの平均駆除量が10キロ以上と多かったことがあげられます。本日終日奮闘頂きました9名の皆さんご苦労様でした。

■ 駆除成果
参加人数 9名
ブラックバス 745尾 37.4kg
ブルーギル       683尾    60.3kg
バス最長寸41cm 

合計 1428尾 97.7kg

在来魚 ギンブナ    28センチ
    ゲンゴロウブナ 33センチ
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コラム − 『腐ってゆくブラックバス』 執筆者 : サエキ
 ある日の駆除での出来事です。水が澄んでいたため、足元を釣った私にはあたかも金魚に餌を与えるようにバスがエビを奪い合って食べる様子が見えていましたが、その中に数匹、頭や体に白くカビが生えたように見えるバスがいました。動作は緩慢ですぐにエサに飛びつくことは無いのですが、結局は釣れてきます。釣り上げれば、白く見えたのは炎症と潰瘍のようであり、キャッチ&リリースされた時の傷が広がったもののようです。
 アゴの一部が溶けたように欠損しているものや、頭部や体全体に潰瘍の広がったものがおり、非常に不気味です。生きているのが不思議な感じで、とても素手で触る気になれません。バサーの多い場所での駆除では毎回こういうバスが何匹か釣れてきます。
 ルアーの釣りでは、エサ釣りでは考えられないような大きな釣針や三本針を使って、強い合わせでバスの硬いあごを貫通させます。針をはずす時にも、素手ではずせずにプライヤーなどを使うことが多いのですが、当然大きな傷が残ります。特によく釣れる小型のバスには致命傷になることが多いでしょう。

 北米では、資源保護の観点からキャッチ&リリースされていますが、それでもリリースされたうちの10%程度は死亡するとの調査結果があります。ここ琵琶湖では、バサーは釣り上げればそれで終わり、後は無造作に投げ捨てるだけですが、捨てられたバスはかなりの割合でこうして死んでいくのでしょう。駆除になるのはいいことですが、害魚とはいえ哀れなものです。

 釣りを楽しむためだけに放流し、釣っては放すを繰り返す。私は、琵琶湖におけるブラックバスのキャッチ&リリースからは、擁護派が主張するような自然を大切にするとか生命を尊ぶという気持ちが全く欠如した、単に自分が楽しむというだけの身勝手さしか感じることができません。

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