京都鴨川上流
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=== 外来魚バスターズ 定例駆除活動報告 8月号 ===


2003年 第15回定例駆除 8月10日 南湖方面漁港 報告担当:だいけん

 今回は、日本列島に大雨をもたらした台風10号の過ぎ去った直後の駆除となりました。台風一過の夏空は日差しも大変強いです。今回の駆除は、早朝と夕方を中心に行いました。

 台風の後は、湖の状態も大きく変化し、魚の集まるポイントも普段とは違うことが予想されます。砂泥の多い河川付近などでは、水は茶色に濁っていましたが、今日の現場は、幸いそこまでひどくはありませんでした。しかし、水底は見えず、藻などは流されていました。今日は、開始当初から、小型のバスとギルがたくさん釣り上がってきます。外側よりも、波の弱い場所に停泊中の船の下に魚がたくさん集まっているようです。外側では、早朝は小型のバスがよく見られました。ブルーギルは、波の強い場所はあまり得意ではないようで、このような日はバスがよく釣れます。


 ほとんどのポイントが小型のバスとギルで占められていましたが、大型ギルのたまり場があり、そこでは50センチ代のバスも見られました。水の流れのない、普段はあまり魚の見られない場所ですが、台風で避難していたのでしょう。このポイントを集中的に攻めたところ2時間程で15リットルのバッカンがいっぱいになりました。釣り上げたバスの一匹が、口から魚をはき出していました。だいぶ溶けかかっていますが、ハゼ科の魚のようです。ついでに、別のバスも解剖してみました。このバスは20センチほどですが、胃からはたくさんの小魚が出てきました。イサザのようですが、かなりの数を食べています。これに混じって2センチほどのバスの稚魚も出てきました。バスからバスが出てくる光景はこれまで何度も目にしています。この稚魚が生まれたのは先月の7月頃と思われます。過去には10月頃に同じサイズのバスの稚魚を見たこともあります。このようにバスが産卵する期間はかなり幅のあるものです。


 今日は普段は見られない在来魚の稚魚の群れを何度か目にすることができました。掬って確認することはできませんでしたが、オイカワのようでした。しかしどの群れも、普通のものに比べるとかなり数の少ないものでした。これだけバス・ギルの多い場所です。小形の在来魚にとっては、かろうじて生き残っているというのが現状だと思います。


 現場から少し離れた浜では、夏休みの観光客でにぎわっていました。浜から眺める湖上は実に込み合っていて、ウインドサーフィンの近くをバスボートが浮かび、その横を水上バイクが全速で走り抜けるといった様子です。見ていて、これでよく事故が起こらないものだと冷や冷やする場面もありました。琵琶湖ルールでは、これらボート類の運行規制についても明記されているわけですが、現在の湖上のレジャーは、環境面だけでなく、安全面
においても非常に問題があります。マナーと常識について、もっと考える必要があるように思います。

 今回は、外来魚駆除活動の夏場におけるの苦労話を一つ。我々は2001年以来、季節を問わず駆除活動を行ってきました。その中でも暑い日差しの照りつける盛夏は、非常に体力を消耗する季節であると同時に、駆除した外来魚の処分に最も苦心する季節でもあります。一度でも手にしたことのある方ならご存知と思いますが、バスやギルは、日本にいる他の淡水魚にはない独特の強い匂いがあります。これに加えて、だいたい7月に入ったころからですが、暑さで釣った魚が腐敗して大変な匂いを発します。これには、いつもスキあらば獲物をかすめようと狙うノラネコも寄り付きません。駆除後には、毎回数十キロもの外来魚を検量しますが、夏場はこの魚の腐敗臭も相まって、なかなかに大変な作業となっています。一方で、これが一日がんばった駆除成果の出る瞬間でもあり、最も楽しみなものでもあります。今も様々な場所あるいはインターネット上において、外来魚問題に対する不毛とも思えるような堂堂巡りの議論が日々繰り広げられています。しかし、本当に外来魚問題に対峙できる場所は、この現場であり、そしてこの現状を変えられるのは、現場で一匹でも多くの外来魚を減らす地道な駆除活動の他にないのです。この琵琶湖が、いつか外来魚支配から開放される日がくることを楽しみに、今後も地道な駆除活動を行っていきたいと思います。


 今回は、台風の後で、コンディションが心配されましたが、厳しい暑さの中、50キロを越える成果をあげることができました。終日、ご奮闘いただきました12名の皆様お疲れ様でした。

■ 駆除成果
参加人数 12名
ブラックバス 204尾 17.9kg
ブルーギル       578尾    33.4kg

合計 782尾 51.3kg
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2003年 第16回定例駆除 - 8月24日 マキノ方面 報告担当:だいけん

 夏場に活性が高く、また産卵期でもあるブルーギル駆除のために6月後半から南湖での駆除が続きましたが、今回は久しぶりに北湖へと舞台を移しました。

 真夏の厳しさも少しずつ和らいできたものの、まだまだ暑い日が続いています。この現場では、2年前から通産1トン以上もの駆除を行ってきました。特に今年の冬は、大量のブラックバスを駆除しましたが、その成果もあって4月頃から外来魚の影は薄くなり、在来魚の稚魚の姿も見られるようになっていました。しかし、今月頃から外来魚の姿が見られるようになったのを受け、多人数による集中駆除を行いました。


 藻の発育がよく、あちこちで水面を覆っています。藻場は外来魚にとっても、在来魚にとっても、重要な隠れ場所になります。外来魚が再びここに集まりだしたのは、季節も関係もありますが、この藻の成長が理由ではないかと思われます。藻の切れ目を狙うと、大型のブルーギルが次々と上がってきます。20センチほどの大型のものです。まるで南湖で駆除をしているようです。ブラックバスは20センチを超えるのに生まれてから2年とかかりませんが、ブルーギルは成長が遅く、琵琶湖では5年以上かかるとされます。居着きの大型ギルは春までに大量に駆除しているので、これらは外海から入ってきたものでしょう。ポイントでかなりバスとギルの分布に偏りが見られます。20センチを超えるバスばかりが集まるポイントもありました。メンバーの竿が大きくしなり、揚がってきたのは41センチのバスでした。ここしばらく南湖で小形のギルを中心に駆除してきたので、とても大きく見えます。

 口に仕掛けをぶら下げたままのバスが釣りあがってきました。糸には2Bほどのオモリが着いており、口も傷ついていました。このようなバスはすでに何度も取り上げているように枚挙に暇がありませんが、バスが非常に貪欲な魚であることはもはや疑いの余地もありません。


 水底の藻場に、体高のある青っぽくみえる魚が見えます。フナでした。大きさは25センチほどでしょうか、数尾が確認できました。ここでフナを見るのははじめてです。周囲にはバスやギルがいましたが、小型なので、フナは逃げることもなくゆったりしていました。ちょうど安曇川の現場とよく似た光景でした。また、フナだけでなく、カムルチー、そしてタナゴの仲間のカネヒラまでもが見られました。以前と違い、大型のバスが大きく減ったためと思われます。ここでも、大型のバスが減れば、中・小型の在来魚が見られるようになったことが確認できます。このカムルチーは親魚で、稚魚を守っていました。カムルチーの稚魚は金色していて、私個人としては見たのはこれがはじめてです。しかし、そのカムルチーの稚魚を狙おうと、その周りをたくさんのバスが取り囲んでいました。親カムルチーは、稚魚に近づいてくるバスを必死で追い払っていましたが、多勢に無勢で、これでは生き残るものもおそらくいないでしょう。カムルチーも魚食性のある外来種として有名です。バス・ギル同様に放流が禁止されている自治体もあります。駆除に出ているとカムルチーについても時々聞かれることがありますが、これまでの報告からいっても、我々の経験から見ても、アジア原産のカムルチーには北米原産のバス・ギルのような圧倒的な繁殖力も食欲もなく、これまでの駆除で特に見られたこともありません。従って、もし増えすぎで困っている場所があるなら駆除を行えばよいと思いますが、この多いとは決していえないカムルチーを、わざわざ狙ってまで駆除する必要性はないといえます。我々がバス・ギルを駆除するのは、いうまでもなく日本の生態系にとっての影響力が絶大であるからです。むしろ、上で述べた光景が示すように、カムルチーもまたバス・ギルによって滅び行く魚といえるのではないでしょうか。

 夕方は雷を伴う豪雨にも見舞われましたが、今回も50キロ越えを達成できました。これから秋にかけて、ブラックバスの活性も高くなってくるものと思われます。本日、終日奮闘頂きました9名の皆さんご苦労様でした。


■ 駆除成果
参加人数 9名
ブラックバス 204尾 20.2kg
ブルーギル       485尾    36.0kg
バス最長寸41cm 

合計 689尾 56.2kg
 
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