今年は例年に比べて雨の日が続きますが、今回の定例駆除も早朝より曇り空の下で始まりました。昨年は雨が少なく、琵琶湖も渇水に見舞われ、外来魚駆除にも影響がありましたが、今年はその心配はないようです。
夏場はブルーギルが大変活発になる季節であり、産卵期でもあります。日中はブルーギルの活性が高く、特に南湖はブルーギルの数が多いので、日中はブルーギルを狙い、早朝と夕方はブラックバスを狙うと効率のよい駆除ができます。
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早朝はブラックバスも活発にエサを追い、大型の個体も見られます。7時頃、メンバーの竿が大きく曲がり、47センチのバスが釣りあがってきました。バスの群れが入ってきたようです。それからしばらくの間、52センチ、46センチ、41センチと続けて大型のバスがしとめられました。これらに加えて、小型のバスもブルーギルに混じって釣れていました。この季節のバスは春の産卵期のものに比べると、かなりやせていますが、水温が高い分、泳ぐ力も強くなっています。春季と同じ感覚でいると、引きの強さから考えてタモを出したものの、岸に寄せてみれば案外大きくもなかったという場面がよくあります。
春の産卵期のバスは水温もまだ低く、さらにメスは卵を抱えていて「身重」であるために大きなものでも泳ぐスピードはそれほどではありませんが、その分、重さがあります。これは実際につり竿で掛けてみれば、実感としてよくわかります。4月に駆除した60センチ級のバスは、どれも4キロ以上ありました。例えば海の大型魚であるクロダイでも60センチで4キロに達するものはあまりいません。ブラックバスは非常に重い魚であるといえます。今回、海釣りで使う大物用の針を折っていくものも現れました。大型のブラックバスと思われます。このような場面に出会うのは、一度や二度ではありません。現場にたち続けていると、ブラックバスの持つパワーのすごさを痛感します。
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メンバーの竿がまた大きく曲がっているので、また大きなバスかと思いきや、これは45センチのニゴイでした。午後にもまたもや48センチのニゴイが釣れました。バス・ギルがひしめき合っている中では、大型の在来魚だけは生き残ることができるようです。
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外来魚駆除をしていると、釣りあがった魚のおこぼれにあずかろうと色々な動物がやってきます。ネコはその代表的なものですが、外来魚が大量に釣れる場所のネコはよく肥えています。ネコ以外には、カラスやトビ、また、アオサギもよく見かけます。見ているとアオサギは魚を取るのがあまり上手ではないようです。カイツブリやカワウも湖岸ではもっともよく見かける動物ですが、こちらは人間よりも魚を取るのがはるかに上手いので、我々に擦り寄ってくるようなことはありません。今回は新顔のゴイサギが現れました。醍醐天皇から名前の由来となっている「五位」の位をもらったという平家物語にも出てくる由緒のある鳥ですが、最近はこうして人からエサをもらっているようです。元々警戒心の強い鳥ではないようですが、このゴイサギはかなり人に慣れているようで、普段から釣り人にエサをねだっているのでしょう。ためしに釣れたばかりの小ギルを投げてみると、何匹も食べます。その様子を後ろから見ていたアオサギが、縄張りを取られたと思ったのか、後でゴイサギを追い払っていました。バス・ギルの増加で野生の鳥達の食生活も変化しているといえるでしょうか。
現在、琵琶湖ではカワウの大増殖が問題となっていますが、そんなカワウも乱開発などによる環境の悪化により、一時は減少し、70年代は全国で3千羽と、絶滅が危惧されていました。しかし80年代になって増え始め、現在では全国で6万羽にまでなりました。そして90年代に入ってからは、増加による糞害等が顕在化しています。琵琶湖で繁殖したカワウは、四国など他県にも広がっていると言われます。80年代は琵琶湖でバス・ギルが激増した時期であり、カワウの増加の原因にはエサとなる外来魚の増加が深く関係していると思えます。カワウはバス・ギルも含め様々な種類の魚を、しかもかなり多く食べるようですが、今まで観察した中では食べやすい形をしている15センチから20センチ程度のバスが好きなようで、ある現場では、ひしめくようにいた小バスが、カワウが現れるようになって以来、大きく減ったのを確認しています。1年で15センチ程度にまで育ち、しかも大量に増えるバスはエサとしては最適なのかもしれません。バスやギルといった特定種の増加は、生態系の上位の種にも密かに影響を及ぼしています。
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午後は強い雨にも見舞われましたが、最長寸の52センチをはじめとする30キロものバスと、大量のギルを駆除することができました。終日奮闘いただきました11名の皆様ご苦労さまでした。
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■ 駆除成果 |
参加人数 |
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12名 |
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ブラックバス |
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159尾 |
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29.0kg |
ブルーギル |
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514尾 |
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26.2kg |
バス最長寸 52cm |
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合計 |
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673尾 |
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55.2kg |
在来魚 ニゴイ 2尾(45センチ、48センチ) |
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